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上腕骨(Humerus) / 概要・解剖学的構造・骨折・起始停止

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上腕骨の概要

上腕骨は人間の上肢にある長管骨である。上腕部分を構成している骨であり、上部は肩甲骨・下部は尺骨及び橈骨と関節を構成している。指標となる解剖学的構造としては上部に位置している「大結節(棘上筋・小円筋などが付着)」「大結節稜大胸筋などが付着)」「小結節(肩甲下筋などが付着)」「小結節陵(大円筋・広背筋などが付着)」「三角筋粗面三角筋が付着)」がある。下部に関しては「内側上顆橈側手根屈筋尺側手根屈筋・円回内筋などが付着)」「外側上顆(長/短橈側手根伸筋・尺側手根伸筋などが付着)」などがある。

上腕骨の骨折

上腕骨における骨折には「頚部骨折(結節稜付近のくびれている部分)」「骨幹部骨折(中央部)」「顆上骨折(内/外側上顆より少し上の部分。)」などがある。骨折の種類によって残存しやすい後遺症が異なっている。画像では頚部骨折(赤)骨幹部骨折(緑/骨折面が斜めになるため逆方向の可能性もある)顆上骨折(青)となっている。

上腕骨頚部骨折

上腕骨頚部骨折は、結節稜(大/小結節間の陵)付近にあるくびれた部分(頚部)で生じる骨折である。骨粗鬆症を患っていると生じやすい骨折であり、高齢者に頻発する。受傷場面として多いのは、転倒して床に手をついた際である。特に肘伸展位(肘を伸ばした状態)で手を付くと床からの反力で骨折が生じる。

骨の転移がない場合には保存療法の適応となることもあり、三角布などを用いて固定を行う。骨癒合までは2週間半から3週間の時間を要する。一方、骨の転移が生じている場合には観血的治療(オペ)にて整復を行う。髄内釘固定やプレート固定が主な術式であり、上腕骨人工骨頭の適応が検討されることもある。転移が激しい場合には、骨癒合が進んでも骨壊死が生じる可能性があるため、長期的なサポートが必須の骨折である。

上腕骨骨幹部骨折

上腕骨骨幹部骨折は、上腕骨の骨幹部(中央部)で生じる骨折である。主に外力によって生じやすい骨折であり、スポーツを行っている者に多い。骨幹部骨折の多くはらせん骨折であり、ねじれるような方向に骨折することが特徴で、骨断面も斜めになりやすい。骨幹部骨折の合併症としては橈骨神経の損傷が多く、下垂手などが生じる。橈骨神経は上腕骨の後面で表皮付近を走行していることから、外傷及び骨折で障害を受けやすい。

上腕骨顆上骨折

上腕骨顆上骨折では内/外側上顆の少し上の部分で骨折する。小児に起こりやすい骨折であり、受傷肢位は転倒時、手を地面に付いた状態である。橈骨神経・尺骨神経・正中神経のいずれも損傷する可能性があり、それぞれの神経損傷に応じた症状が出現する。骨癒合時には肘の内反変形を生じやすく、最終的には内反肘をきたしやすい。

上腕骨に付着している筋肉

上腕骨には多くの筋肉が付着しており、代表的な筋を解剖学的な構造と併せて以下に記載する。

大結節

大結節は上腕骨上部の外側に位置している。大結節には「棘上筋・棘下筋・小円筋」が付着している。大結節から下に伸びる大結節稜には「大胸筋」が付着している。

小結節

大結節は上腕骨上部の内側に位置している。小結節には「肩甲下筋」が付着している。小結節から下に伸びる小結節稜には「広背筋・大円筋」が主に付着している。

内側上顆

内側上顆は上腕骨下部の内側に位置している。内側上顆には「橈側手根屈筋尺側手根屈筋・長掌筋・浅指屈筋」などが主に付着している。これらは主に手関節の掌屈屈曲)に作用する筋である。

外側上顆

外側上顆は上腕骨下部の外側に位置している。外側上顆には「長橈側手根伸筋・短橈側手根伸筋・尺側手根伸筋・総指指伸筋」などが主に付着している。これらは主に手関節の背屈伸展)に作用する筋である。

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