上腕二頭筋(Biceps brachii) / 概要・起始停止・支配神経・運動
上腕二頭筋の概要
上腕二頭筋(Biceps brachii)は上肢における上腕部前面に付着している筋肉である。一般的には「力こぶ」と呼ばれている筋肉であり、上腕二頭筋の作用である肘を強く曲げる(屈曲)ことによって筋腹が盛り上がる。また、前腕の回外(ドアノブを右に回すような動作)にも関与しているため、この動作によっても筋腹が盛り上がり力が入る。上腕二頭筋反射にも関与する筋肉である。肘関節の動きに大きく関与していることから、種々の検査において上腕二頭筋の機能が段階づけの目安になっていることが多い。上腕二頭筋腱の内側には採血や血圧測定などで利用される上腕動脈を触知することができる。肘関節の伸展作用がある上腕三頭筋とは拮抗筋の関係である。
その名の通り筋腹が2つあり、長頭と短頭に分かれている。いずれも肩甲骨から起始しているが、若干場所が異なることから各種国家試験にも頻出する。起始停止のみならず作用や神経系まで幅広く関与する筋肉であるため、基本的な情報は押さえておきたい。
肘の屈曲に関しては、前腕の肢位によって主動作筋が異なっている。前腕回外位では上腕二頭筋が、前腕回内回外中間位では腕橈骨筋が、前腕回内位では上腕筋が肘屈曲の主動作筋として働く。
上腕二頭筋の起始・停止・支配神経・運動
上腕二頭筋の起始部・停止部・支配神経・運動は以下のようになっている。
起始
長頭:関節上結節(肩甲骨)
短頭:烏口突起(肩甲骨)
停止
前腕筋膜・橈骨粗面・尺骨
支配神経
筋皮神経
髄節:C5-6